治安について

フィリピンへ語学留学する際に考えるべき大切な事項の一つに、滞在先の治安状況があります。マニラなどの都心エリア、セブなどのリゾートエリアかどうかでも治安状況は違いますし、もっと郊外だと旅行でも訪れる機会が少ないので、想像がしにくい部分もあるかもしれません。
語学留学目的でフィリピンに滞在する場合、旅行者目線とは違う感覚を持つ必要があります。またそのエリアの物価が留学中の生活基準に合うエリアかどうかも大切な確認事項ですので、結構過ごしやすい物価エリアだと思って渡航前に確認せず決めてしまうと、フィリピンに慣れていない人が滞在するには少し危険なエリアだったということにもなってしまいます。 そうした事を防ぐために、まずフィリピンの主要都市の基本的な治安について少し知識を得てから、渡航準備に備えましょう!

フィリピンの治安について

世界治安ランキング(163ヶ国)
1位 アイスランド
10位 日本
125位 フィリピン
129位 アメリカ
129位 アフガニスタン
アジア治安ランキング(47ヶ国)
30位 タイ
33位 フィリピン
37位 インド

まず、世界163カ国を対象にした世界の治安ランキングから見てみますと、最新のデータから、フィリピンは163ヵ国中125位となります。1位がアイスランド、163位がアフガニスタン、日本が10位という結果を見るに、フィリピンは相対的には治安に気を付けるべき国となります。ちなみにアジアランキングでのフィリピンの治安は47カ国中33位です。日本人がよく行く国を例に挙げると、37位のインドより高く、30位のタイよりは低いという結果です。行ったことがある国であれば、体感として感じられやすいかもしれません。
(GPI( the Institute for Economics and Peace)2021/2022年調べ)

しかし日本人が頻繁に旅行や留学で訪れているアメリカは、世界ランキング129位とフィリピンより順位が低いのです。旅行や留学でアメリカを訪れたことがある方にはなんとなく感覚が分かりやすいと思うのですが、アメリカでも、気を付けなければいけない場所やエリアが存在はしているが、それ以外のエリアで過ごす分には、気を付けてさえいれば犯罪などに遭うことなく過ごすことが出来るのです。 ランキングはその国の全てのエリアの平均値を算出しているものですので、治安が良いエリアと治安が悪いエリアの数値が一緒となっているため、その国の全土の治安が悪いように感じてしまうかもしれませんが、先ほどのアメリカの例でも説明した通り、フィリピンでも治安が良いエリアと気を付けなければいけないエリアをキチンと把握して行動すれば、一般的な留学と変わらず過ごすことができます!

留学地域はどう?

それでは日本人が語学留学先として選ぶ人気エリアの治安はどのようになっているか、みてみましょう!

セブ

セブ島

まず、留学先にも旅行先にも人気のあるセブ島ですが、こちらは世界屈指のリゾート地ということもあり、外資系企業や語学学校も多く、観光地としての施設も充実しており、とても栄えています。そのためフィリピンの他の地域と比べると、比較的安全なエリアです。特に中心地のセブシティは日中に日本人が一人で歩いていても悪目立ちすることもなく、人気の多い場所なら特に安心して過ごすことが出来ます。他の国のビーチリゾートの雰囲気に慣れていて安全な場所と気を付けるべき場所が想像出来るという人や、初めてフィリピンへ渡航する人にとってもおススメの場所となっています。夜間も不用意に一人で外出しない限り、特に問題はありません。しかしいくら安全なセブとはいえ、日本と同じ感覚で過ごしていると軽犯罪に巻き込まれることもあるので、注意しましょう。スリやひったくり、置き引きはもちろん、日本語が流暢な強引な客引きなどについていくと、トラブルに見舞われることもあります。荷物からは絶対に目を離さないようにしましょう。またリゾートエリアではなく繁華街や旧市街に行けば行くほど治安は悪くなるので、こちらは滞在が長くなって来た頃に、現地に少し慣れたからといって対策せずに立ち入ることはおススメしません。最近は更に治安の向上を感じるという声も増えておりますので、日本ではない異国で生活している気持ちを忘れなければ、充実した毎日を過ごすことができるでしょう!

マニラ

マニラ

フィリピンの首都であり経済や文化の中核を担うマニラ。スペイン統治下の面影を残す旧市街、経済的成長途中であることを象徴するようなビジネスビルにショッピングセンター、外資系企業の流入など、多彩な面を見せてくれるマニラは語学の勉強のみならず、世界が広がる経験をさせてくれるでしょう。当然、たくさんの人が住んでいます。地元の人や旅行や留学・ビジネス目的の人々以外にも、7,000以上あるフィリピンの島々から都会に仕事を求めやってくるフィリピンの地方の人々、近隣諸国からの移住者など、街ゆく人のルーツの種類は計り知れない程に多彩です。他の国の大都市でも起こりやすいことではありますが、そんなたくさんの人々が一つの街で生活すると、当然治安は悪くなることもあります。特にマニラはフィリピンの都市の中でも治安が悪いエリアが点在しているので、うかつに観光客が普段立ち入らないようなエリアに行くことは控えましょう。ひったくりやスリなどに遭う確率もセブ島より上がります。マニラは旅慣れた人でも細心の注意を払い行動していますので、気を付けましょう。しかし、観光客や留学生、他国からのビジネス目的の移住者が滞在したり行動するエリアは整備されていて、街並みやお店は雰囲気が洗練されています。そういった場所や日中に観光客が多く出入りする場所は、安心して過ごせるところも多いです。フィリピン国内に限らず、大都市は道を一本超えただけで治安がガラッと変わることも少なくありません。外を歩いているときは、荷物に注意を払う意味も兼ねて、スマホや音楽に集中しすぎながら歩くことは控えましょう。

クラーク

クラークはマニラと同じルソン島の中心に位置するエリアです。マニラから車で約2時間ほど北上した、パンガパンガ州とターラック州をまたぐ位置にあります。 クラークにはフィリピンを代表する経済特別区があります。このクラーク経済特別区には様々な外資系企業や施設があり、出張などのビジネス滞在目的の外国人がとても多いです(元米軍基地だったこともあり、アメリカ人が多いです)。そのため日常的に英語が通じやすいエリアであり、語学学校も多くあります。マニラから近いこともありあらゆるアクセスも良好、郊外の自然が多い場所もあり、住むにはバランスが取れています。経済特別区内はゲートで囲まれており、24時間体制で警備がされているので治安面は非常に安定しており、また日常生活での英語使用率の高さから、フィリピン語学留学には穴場的な場所となっています! そんな滞在におススメのクラークではありますが、経済特別区とそれ以外のエリアとの治安の差は大きいため、一歩経済特別区を出れば、フィリピンの他の大きな都市と同じくらいの警戒心が必要です。経済特別区の外を女性が夜間に一人で歩くなどの行為は控えましょう。また経済特別区の外にある語学学校も多いです。語学学校が多くあるエリア周辺の治安はセブ島と同じ程度ではありますが、それでも経済特別区内よりは注意が必要です。

ミンダナオ地域

フィリピンの中で一番治安上懸念があるのが、ミンダナオ地域です。ミンダナオ島はフィリピン国内で2番目に大きい島で、ダバオなどの都市があります。セブ島の南に位置し、気候も安定していて語学学校もいくつかあり、過ごしやすい雰囲気を感じることもあるかもしれませんが、この島はフィリピン国内で最も治安が悪く、日本の外務省からは島全域が不要不急の渡航を控える地域に指定されており、島の南西側に至っては渡航中止勧告までもが発令されているエリアです。スリやひったくり、強盗だけでも恐怖を感じるものですが、ミンダナオ地域に関してはテロ事件や誘拐事件が頻発し、地元市民も巻き込まれているエリアです。フィリピン滞在に慣れて来た頃、自分の住んでいる島や都市以外のエリアまで足を伸ばしたくなることもあるかもしれませんが、ミンダナオ地域には特別な事情がない限り上陸は控え、特に島の南西部には絶対に近づかないようにしましょう。また同じ理由で、パラワン島の南部に行くのも必要がない限り控えましょう。

地域格差も治安に影響

上記のように、フィリピンには全く治安に心配のないエリアと、足を踏み入れるだけでも危ないエリアの差が大きくあります。これは、フィリピン国内の地域によって経済格差が深刻に広がっていることが背景に挙げられます。当然のことではありますが、経済状況が良いエリアは治安が良く、経済状況が悪いエリアはどんどん治安が悪化しています。この経済格差は、大きく分けて以下の様な理由や状況が原因となっています。

  • 都市部に人口と経済が集中
  • テロ組織による治安の悪化が著しい
  • 自然災害の多さ

まず都市部に人口と経済が集中というところですが、フィリピンは首都マニラやクラークなどのルソン島中心部と、その周辺地域の格差が深刻となっています。これは政治や開発に携わる人が、ルソン中心部出身者が多かったことが発展に寄与したというのが大きな理由の一つです。そのため一部の都市がどんどんと拡大し、その他の周辺エリアは発展の恩恵を受けられず、貧困化していきました。

次に、テロ組織による治安の悪化についてです。こちらは上記のミンダナオ島を中心に起こっている深刻な問題で、武装した勢力が治安を不安定にしています。当然、治安が不安定な場所では経済の発展や開発を進めることは難しく、ミンダナオ地域はその他の島や地域に比べ貧困率が大きく上がってしまっています。

最後に、自然災害の多さについてです。フィリピンは自然の豊かな国で、それが魅力の一つではあるのですが、台風・地震・火山活動が非常に活発でもあります。
一度大きな自然災害が起きると、流通や電子回線、交通にも非常に影響が出てしまいます。陸続きではなく島が多い国なので、一度インフラが止まってしまうと広範囲で長期間に不便な状況が起こり、最悪の場合は死者や行方不明者も多く出してしまいます。
このように環境的要因から、都市開発が遅れることも多いのです。
しかし留学目的で行く都市はインフラが整っている都市が多いため、普通に生活する分には長期で困ることは少ないはずです。いざというときの為に避難ルートを確認したり、日本への連絡経路を見直したりしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか??フィリピンの治安について、少し理解が深まったでしょうか。
エリアや島によって治安状況にばらつきがあるのが特徴でしたね。日本人が留学先として選ぶエリアは、気を付けていれば大きな心配はなく過ごせることがお判りいただけたかと思います!しかし、安心して留学生活を送るためには、事前に実例やリアルタイムの情報を調べる必要があります。そういう場合は、是非ステップフォワードサポートへご連絡ください。フィリピン語学留学についての学校選び・エリア選び・航空券の取り方など、様々な情報をお伝えいたします!